▼ワインの王こと「バローロ」の歴史!モダン派と現代派の衝突と進化

バローロの歴史-バナー

皆さんはイタリアワインの王様こと「バローロ」と、イタリアワインの女王「バルバレスコ」をご存じでしょうか。 これらはイタリア・ピエモンテ州のバローロ村とその周辺のいくつかの村を生産地とする、DOCG規格(統制保証付原産地呼称ワイン)の赤ワインのことです。 力強く、濃厚にして芳醇な味わいが特徴で世界中で愛されています。

「バローロ」と「バルバレスコ」の違いはつくられる土壌と熟成期間にあります。 前者は土壌によりタンニンを多く感じることができ、3年の熟成期間が必要です。 後者は、前者よりも肥えた土壌でつくり2年の熟成期間を必要とします。 このワインができた背景には、様々な歴史があります。

 

貴族階級により、現在に通じる辛口のバローロの誕生!「王のワイン」の地位を築く

バローロの歴史
18世紀頃、バローロとは甘口で微発泡のワインでした。 当時はその品質も安定していませんでした。 あるワイン愛好家はその味に満足しておらず、フランス人からワイン醸造専門家を呼び寄せ新たなバローロを生み出そうとしました。 醸造家たちは今までと違うバローロをつくるために様々な努力を重ねました。 長期熟成型のワインにすることで品質を安定させ、「ネッビオーロ葡萄」の潜在力を理解し現在のキレのある辛口ワインを生み出すことに成功しました。

「ネッビオーロ葡萄」とは「晩秋の霧」を意味する、「ネッビア」が出始める頃にようやく収穫できる晩熟の葡萄種です。 タンニンの成分が多いため、長期熟成のバローロに向いている品種です。 しかしデリケートな品種のため、注意して栽培しなければいけません。 この「ネッビオーロ葡萄」の能力を理解して活かしていくことにより、辛口なバローロの風味を生み出すことができるのです。

 

「時代遅れのワイン」になるも、モダン派の台頭で返り咲く

人気を博したバローロですが、20世紀に入ると恐慌や世界大戦の影響で品質がだんだん下がっていってしましました。 また伝統的スタイルのワインはタンニンがより強靭で、飲み頃になるまで何年もかかっていました。 昔ながらの製法にこだわっていたバローロですが、技術進歩や好まれる味の変化によって「時代遅れのワイン」と呼ばれてしまうようになります。 値段も下がっていき、一時は「王のワイン」と呼ばれることもなくなりました。 そこでモダン派の「バローロボーイズ」が登場します。

新たな技術を取り入れ、長期熟成しなくても美味しく飲めるワインを生み出したことで、バローロはまた「王のワイン」の名を取り戻すことができたのです。 新技術を取り入れ、果実の風味豊かな飲みやすいスタイルのワインを作るモダン派の登場によって、バローロは人気を取り戻しました。 このモダン派の台頭により、バローロワイン全体の質を上げることにつながったのです。

 

モダン派と伝統派の激しい衝突! 生産者スタイルによる味の大きな差

バローロの生産者は製法と生み出すワインのスタイルで、現在ではモダン派・伝統派・中間派の3つに分類されます。 時代のニーズに合わせてつくり人気を得ることができたモダン派ですが、伝統派との間で論争が起こります。 伝統派は長期のマセラシオンと大樽を用いた昔ながらの製法により、強靭で長期熟成に耐えうるワインをつくっています。 酸化熟成によって色調がより淡くオレンジがかり、ドライフルーツのような香りがします。

モダン派はブルゴーニュ流製法を取り入れることにより、若々しい果実味と凝縮感を伴ったワインを生み出すことに成功しました。 色が濃く樽の香りが顕著で、あまり長期熟成させなくても楽しむことができます。 伝統派は、今までの生産方法を大切にしないといけないと声を上げモダン派は革新が必要だと主張します。 しかし、どちらのワインにも個性があり、現在ではどちらの製法も取り入れられています。

 

モダン派、伝統派がそれぞれ進化! 中間派も現れ個性豊かな味わいに

そしてその両面の製法をバランスよく取り入れているのが中間派です。実は、近年では伝統派とモダン派の違いはそれほどはっきりしなくなってきているのです。 たとえば伝統派でもモダン派の製法を一部に採り入れたり、モダン派でも大樽熟成の期間を一部採り入れたりするようなところがあります。 伝統派は最新の技術に注目し、モダン派は伝統によりそうことで新たなワインを生み出そうとしています。 美味しいワインをつくるために、自分が一番ベストだと思う生産法をとっているため様々な製法を選んでいるのです。

バローロは生産者によって個性豊かな味わいを楽しむことができるワインへと進化しました。 なんと今ではバローロを使ったリキュールなども生まれています。 こちらはピエモンテの特産であるチョコレートとも相性抜群です。 これからもワインの形は様々な方向へ展開し、進化をし続けていくかもしれません。

まとめ

いろんな生産者や製法により、様々な味を楽しむことができるバローロワイン。 何種類か買ってみて、ぜひ飲み比べをしてみたいワインです。 おうちで飲む場合には赤ワインなので、コクのあるチーズやお肉料理に合わせることがおすすめです。 地元のピエモンテでは郷土料理の「牛かたまり肉の煮込み」と合わせるのが定番だそうです。 合わせて飲むと、お肉の旨みが何倍にも膨れ上がりそうです。 生産者の熱い想いが詰まったこのワインを飲みながら、バローロワインにまつわる歴史に思いをはせるのもいいですね。 自分の好みに合った風味のワインを楽しみながら選んでみてください。




イタリアワインの王様「バローロ」特集


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