▼「イタリアワインの女王」と讃えられるブルネッロ・ディ・モンタルチーノの歴史

ブルネロの歴史-バナー

ヨーロッパでは中世の教会でワインを製造していたことからも分かるように、古くからワイン文化が根付いています。その中でもイタリアは世界的なワインの産出国として特に有名で、品質の高いイタリアワインは世界中のワイン通の間で高い人気を得ています。イタリアワインの魅力として大きいのは、ぶどうの品種が非常に豊富なため、出来上がるワインのタイプも様々だという点です。ワインの好みは人それぞれではありますが、イタリアワインなら多くの人が自分のお気に入りを見つけられるのではないでしょうか。そんなイタリアワインの数多くの種類の中でも、女王という異名で呼ばれるほど特別な存在があります。それはブルネッロ・ディ・モンタルチーノという赤ワインで、世界のワイン通の間で憧れの的となっています。

 

土着のぶどう品種の発見!突然変異種から導き出された奇跡

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの歴史は、19世紀後半に当時のサンティ家当主だったクレメント・サンティが、ある種類のぶどうを発見したことから始まりました。彼はサンジョヴェーゼという土着の品種のぶどうを自分の農園で栽培していたのですが、その中に粒が大きいという特徴を持った突然変異種を発見したのです。その突然変異種がワイン造りに適していると判断したクレメントは、その品種を増やしてロッソ・セルトというワインを作りました。そのロッソ・セルトはイタリアだけではなくフランスやイギリスでも高い評価を受けることに成功します。それからそのクレメントの孫であるフェルッチョは、クレメントが残したその突然変異種だけを用いたワインの製造を試みたのですが、残念ながらそれでは味が強すぎるという難点がありました。そこで、彼はそのワインを改良するために醸造方法に工夫を凝らし、1888年にはついに傑作と言えるワインが誕生しました。それこそがイタリアワインの女王と讃えられる、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノです。

 

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの醸造方法や特徴

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノがイタリアワインの女王と呼ばれるほどの存在になれたのは、ブルネッロと名付けられた突然変異種のぶどうの発見が大きいのは確かなのですが、それだけで作られたワインの問題点を克服するためにフェルッチョ・サンティが製造方法を考え出しました。そのため、フェルッチョ・サンティが果たした役割も大きいと言えます。具体的にはスロベニア産の大樽で長期間熟成させるという方法により、ブルネッロの難点だった強いタンニンと酸の調和を図ることです。現在では小樽を用いてブルネッロ・ディ・モンタルチーノを醸造するワイナリーも出てきていますが、その伝統的な醸造方法を受け継いでいるメーカーも健在です。そのように作られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノの特徴は、力強くて厚みのある味わいと、長期間熟成によってもたらされるかぐわしくて複雑な香りを持っていることです。そういった要素がぶつかり合うのではなく、バランス良く感じられるという点が大きな魅力となっています。

 

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノが生み出される気候や風土

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノが生み出されるきっかけは、土着のぶどうが突然変異を遂げたことなのですが、それには生産地であるモンタルチーノの気候や風土が深く関係しています。モンタルチーノの気候は、ぶどうの栽培に適しているとされる地中海性気候です。その気候の下では夏は高温になり、また降水量が少ないために乾燥します。そのような夏と比較すると、春や冬は降水量が多くなるというのが地中海性気候の特徴です。ただし、モンタルチーノは標高が高いため、周辺の地域には雨雲が出た時でもこの地域だけはその雲の上に出てしまうことが少なくありません。そのため、モンタルチーノは降水量がとても少ないのですが、それこそが高品質のぶどうを生む風土に結びついていると言えます。水がないと育つことができないぶどうの木は、深くまで根を張って地下水を取り入れようとするので、ミネラルを多く取り入れて味わいが増すのです。

 

ブルネッロというぶどうの品種の特徴

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの原料となっているブルネッロというぶどうの品種には、優れたワインの製造につながるようないくつかの特徴があります。その一つとしてまず挙げられるのは、粒が大きくて皮が厚いことです。本来であれば小粒のぶどうの方がフルボディのワインには適していると言われるのですが、このブルネッロ・ディ・モンタルチーノの醸造期間は通常よりもかなり長いため、大粒であってもその魅力を存分に引き出すことができます。また、ブルネッロという品種の特徴としては、香り・タンニン・酸・アルコールのどれもが大変豊かであることです。その点はワインの味に関しては、あまりにそれらが強く感じられるという弱点にもなりかねませんでしたが、それも長期間の醸造によって個性的な魅力へと転じています。さらに、その品質の高さを保つために、ブルネッロには標高250mから600mの地域で生産されるという決まりがあります。

 

まとめ

ここまで、イタリアワインの女王と称され、イタリアだけではなく世界中のワイン通をうならせてきたブルネッロ・ディ・モンタルチーノの歴史や特徴などについて見て来ました。その歴史が始まったのは、土着のぶどうの突然変異という、ある意味では偶然に起こった奇跡からだったのですが、それだけでは長く愛され続けるワインを生み出すことはできませんでした。より素晴らしいワインを作ろうとした創始者や、手のかかる製法を現在まで受け継いでいるワイナリーなど、多くの人たちの努力と情熱があってこそ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは世界トップクラスのワインとなったのです。





ブルネッロ ディ モンタルチーノ特集




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