▼イタリアはワインの神様に愛された? ワイン栽培が盛んになった歴史と理由


イタリアはワインの神様に愛された
イタリアは国土をあげてワイン用のブドウ栽培が盛んですが、ずっと初めから盛んだったわけではなく、ローマ時代やキリスト教の布教など、様々な歴史が絡んで発展してきました。 地中海に囲まれたイタリアは、もともとその気候が栽培に適していたということもありますが、小国家の集まりであり個性豊かなワインが生まれやすい環境だったことも、世界に愛される多品質のワインが生まれた理由です。

歴史や宗教、土地の特徴や気候などを見れば、いかにイタリアが個性豊かなワインづくりに適した国かわかります。 それぞれの面からその理由を紐解いていきましょう。
 

「ワインづくりを盛んにさせたのはキリスト教?」

ワインづくりを盛んにさせたのはキリスト教

イタリアワインの歴史は紀元前2,000年前と古く、イタリアが古代ローマ時代にギリシャ人からワイン造りの方法がもたらされました。 ローマ帝国の拡大と共に伝わったワインは、当時財産にもなるほど高価なものとして扱われ、薬として用いられることもありました。

ローマ帝国崩壊後、一時ぶどうの栽培自体が縮小されましたが修道院でワイン造りが行われていたことにより見事復活。 中世になるとたちまちワインは庶民にも広がっていきます。 この時代から保存容器は昔の土器から今の木の樽へと変化しています。

イタリアワインの復活と普及に貢献した修道院ですが、なぜここは栽培を続けていたかというとキリスト教の布教にワインが使われていたからです。 キリストが「パンはわが肉、ワインはわが血」と言ったため、ワインは「キリストの血」として現在でもキリスト教の儀式に使われています。

ワイン作りが盛んになったのは、こうした宗教的背景も理由のひとつでありキリスト教が国民に広まるほどワインも広まっていったということです。

「南北に長く伸びている土地がワインづくりに向く理由」

イタリアは全長が南北に1,200km

イタリアは全長が南北に1,200kmもあるほど長く伸びている土地です。 イタリア半島はアドリア海に地中海、ティレニア海と3つの海にそれぞれ囲まれていて、さらに2,000m級の高さのアペニン山脈が南北を縦断しています。

北部はやや寒いものの、南部は乾燥して暖かい地中海性気候です。 その気候圏の違いからブドウの栽培園は5つに分かれます。 イタリアにワインの製法を伝えたギリシャ人は、イタリア半島を「エノトリーア・テルス(ワインの大地)」と呼ぶほど、ワインづくりに適した土地と評価していました。

イタリアは特にワイン用のブドウ栽培に向く地中海性気候の土地が多いため、ワイン用のブドウが20州で栽培されています。 イタリアワインの魅力はこのそれぞれの栽培園で作られているバラエティ豊かなブドウの個性ですが、その品種は毎年新しいものが生まれているほど多彩です。 なかには専門家さえ知らないほんの一部地域でのみ栽培されている品種もあります。

気候とそれぞれの地域で固有種が作れる環境が整い、世界でも稀なほどブドウの品種に富んでいるため、イタリアではますますワインづくりが盛んになりました。

「地中海気候がブドウ栽培に適している理由」

ぶどうの栽培をワインで盛んにさせた

ぶどうの栽培をワインで盛んにさせた地中海性気候ですが、夏は高温で乾燥しており冬は温暖で湿潤な気候のことを言います。 温帯気候のひとつで、ブドウの他にもレモンやオリーブ、オレンジなどの樹木がこの土地で盛んに作られています。

冬でも農作物を作ることのできる地域ですが、夏は雨が少ないため農業ができなくなります。 その間は羊などを放牧して土地が回復するのを待ち、強い太陽と水分の少ない夏を利用して樹木を育てるようになりました。

ブドウのような樹木は、水分に恵まれた土地で栽培すると木が余分に水を吸い上げてしまうため、果実に甘味が凝縮されません。 そのため雨が少なく気温の高い夏の地中海気候が栽培に適しています。

三方を地中海に囲まれたイタリア半島は、この気候の恩恵をフルに受けることのできる国です。 地中海性気候はヨーロッパの他にも世界中で見られる気候です。 しかし、例えばアメリカであればその地域はカリフォルニア州周辺だけであり、ワインの生産もカリフォルニア州が大半を占めることになるなど限定的です。 イタリアでワインの栽培が盛んになったのは多くの州がこの気候が属することが大きなカギとなっています。

「イタリア固有のブドウの品種が2000種!? 固有種が増えた理由」

イタリアで栽培されているブドウの品種は、政府の認定を受けているものでも400種類以上あります。 その数は2,000種以上とも言われ土着品種も多いです。

この個性豊かなブドウが生まれた理由は、イタリアが小都市国家の集まりだったことが関係しています。 国家として統一されるのが遅かったため、歴史や文化がそれぞれの地域で存在します。

また、それぞれの地域は独特の自然環境を持っている国であるというのも、マイナーな品種が多くある理由です。 3つそれぞれの海に面している地域、2つの大きな山脈付近の地域もあれば平野部もあり、水源はポー川やアルノ川といった川といった川に、イゼオ湖やガルダ湖、トラジメーノ湖などの湖があるなど自然条件も地域によって異なります。

そしてイタリアでは、その地域のモノで摂れたものを食すという地産地消の意識が高いので、マイナーなものであってもその品種を使ったワインが、その地域で飲まれることになるというのも個性的なワインが生まれ守られてきた理由です。 その土地のワインは自然と郷土料理との相性のよいものになり、さらに個性に磨きをかけることになりました。

まとめ

国の歴史と宗教、山や海、川などの存在と地中海の気候などイタリアには多品種のワインに適したブドウを栽培できる条件が揃っています。 地域ごとに独特の個性があるイタリアはそのワインもその土地の料理に合わせてそれぞれの個性があります。 この個性こそがまた世界のワイン愛好家を魅了し、イタリアワインは高い地位を築き上げました。

高級ワインもあれば庶民的で毎日の食事に適しているワインもあり、魚料理に肉料理それぞれに合うワインが作り出されているのは、イタリアでさまざまなブドウの品種がその土地ごとに作られているからです。



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